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白石 健介; 深井 勝麿; 八木 栄一*
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.550 - 553, 1991/00
被引用回数:6 パーセンタイル:58.71(Materials Science, Multidisciplinary)溶体化処理した316ステンレス鋼に室温で、高エネルギーのアルゴンまたは窒素イオンを110m程度まで照射し、照射損傷組織のイオン入射方向の変化を光学顕微鏡及び電子顕微鏡を用いて観察し、計算による、照射損傷の深さ分布と比較した。窒素イオンの照射では、57.4から86.2MeVのエネルギー範囲で測定した平均飛程は22.3~40.0mであり、拡張E-DEP-1コードを用いた計算結果とよい一致を示す。これに対して、40.5~51.1MeVのエネルギー範囲のアルゴンの平均飛程の測定値は、計算値の4.7~5.6mに比べて20%程度大きい。電子顕微鏡で観察した照射欠陥のイオンの入射方向における分布幅は、窒素イオン及びアルゴンイオン照射の双方とも、計算値とかなりよい一致を示す。アルゴンイオンを照射後、1023Kで1時間熱処理した試料には、タングルした転位線アルゴン気泡のほかMC型の炭化物が観察される。
倉沢 利昌; 渡辺 斉
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.851 - 854, 1991/00
被引用回数:13 パーセンタイル:78.38(Materials Science, Multidisciplinary)現在世界各国で原子炉照射下でのトリチウム放出実験が競っておこなわれている。しかしこれらの実験でのデータの一致は十分ではなく、その原因として照射材料の特性の違いと共に、表面における種々の機構の影響が指摘されている。本試験(VOM-31)では比表面積の異なる2種類の酸化リチウムを用い、450~800Cの温度範囲で、スイープガス中の水素添加量を最大1%まで変えて、トリチウム放出におよぼすこれらの影響を調べた。その結果、原子炉照射下トリチウム放出では固体内部でのトリチウムの拡散と共に表面での過程が重要であることが明らかになった。その両者の寄与を拡散と表面反応の比より比較する式を導入し、データ解析を試みている。これによりそれぞれの機構が優勢である温度とスイープガス組成範囲が明らかになると期待できる。
野田 健治; 石井 慶信; 松井 尚之*; 大野 英雄; 渡辺 斉
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.835 - 838, 1991/00
被引用回数:19 パーセンタイル:86.35(Materials Science, Multidisciplinary)酸化リチウムの電気伝導度を393~593Kの温度範囲で酸素又はリチウムイオン照射を用いた「その場測定」により調べた。照射中における伝導度は照射中断中のそれに比べると数倍から数10倍大きかった。また、照射中の伝導度は照射イオンフラックスとともに増加した他、温度にも依存した。照射開始、照射中断及びイオンフラックス変化時における伝導度の過渡的挙動を調べ、これに対する伝導度の反応は速いが、すぐには定常状態に達しないことがわかった。これらより、伝導の機構、照射欠陥、照射下における物質拡散現象について討論を行う。
北條 喜一; 實川 資朗; 鈴木 雅秀; 浜田 省三; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.496 - 499, 1991/00
被引用回数:1 パーセンタイル:19.91(Materials Science, Multidisciplinary)この研究は日米協力による核融合炉材料の照射特性を取得する目的で行ったものである。特に、高レベル放射化材料(JPCA、773K、55dpa、4000at ppm He)(10R/hr以上)中に析出した微小粒子の分析をJEM-2000FX付設透過電子エネルギー損失分光器(EELS)を用いて行った。その結果、数十nmの析出相中にはNiの減少、Tiの増加が観察・測定できた。
神垣 信生*; 古野 茂実; 北條 喜一; 出井 数彦*; 紀 隆雄*
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.970 - 973, 1991/00
被引用回数:3 パーセンタイル:40.8(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウムおよびアルミニウム希薄合金に10keV Heイオンを照射して、形成される転位ループやバブルの形成、成長におよぼす添加元素の効果を調べた。SiおよびLi合金においては、バブルの形成が純AlおよびMg合金より遅れ、また密度も小さいことが判った。この結果から、SiおよびLiと格子間原子の結合が強く、転位ループがこれらの添加元素を核として、形成され易く、空孔がこれに吸収されるため、バブルの形成が抑制されると推測した。
小野 興太郎*; 紀 隆雄*; 古野 茂実; 北條 喜一; 出井 数彦*; 水野 薫*; 伊藤 一義*
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.978 - 981, 1991/00
被引用回数:18 パーセンタイル:85.4(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウムの電子線照射においては、試料に前もって水素イオンを注入することによって、転位ループの形成がエンハンスされることが判った。これは試料中に蓄積された水素と空孔の複合体がループ形成の核として働くためであると推測した。水素イオン照射による転位ループ形成については、フラックスフルーエンスおよび照射温度を変えて実験を行った結果とこれらの実験条件をパラメータとして、コンピュータシミュレーションで得られた結果を比較して、パラメータおよび形成機構の検討を行った。
古野 茂実; 北條 喜一; 大津 仁; 出井 数彦*; 神垣 信生*; 紀 隆雄*
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.1011 - 1014, 1991/00
被引用回数:9 パーセンタイル:69.46(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウムを10 keV Hイオンで照射して、その場観察によって、照射中および焼鈍中における水素バブルの挙動を調べた。-160Cで照射中バブルは形成されないが、照射後室温へ昇温する過程で形成されることが判った。また、室温でエージング中に5nm以下のバブルは消滅するが、大きいバブルは成長すること、室温から300Cまでの焼鈍過程で全てのバブルが消滅することが判った。これらのバブルの挙動について、点欠陥およびその複合体の移動と反応過程に基づいて、考察する。
北條 喜一; 古野 茂実; 曽我 猛; 出井 数彦
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.411 - 414, 1991/00
被引用回数:11 パーセンタイル:74.4(Materials Science, Multidisciplinary)SiC結晶に低速水素イオンを照射し、形成される照射欠陥の挙動をその場で観察しながら、同時にパラレル-EELSによる測定を行い構造変化および電子状態の変化を測定した。SiC結晶の第1、第2プラズモン損失ピータが照射量の増加にともない低エネルギ側にシフトすることを測定した。このピークのシフトは試料組成比の変化に起因する。このシフト量からSi/Cが約1.2であることが推定できた。又、1310 ions/cm以上の照射量で、13.6eV近傍に新しい損失ピークが観察できた。
鈴木 雅秀; 衛藤 基邦; 深谷 清; 西山 裕孝; 古平 恒夫; 奥 達雄; 足立 守; 海野 明; 高橋 五志生; 三沢 俊平*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.441 - 444, 1991/00
被引用回数:29 パーセンタイル:92.44(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射した21/4Cr-1Mo鋼(焼ならし-焼もどし材)微小試験片(3mm0.25mm、10100.5mm)のスモールパンチ(SP)試験を行い、得られた各種の値と通常の方法によって得た照射後機械的性質とを比較した。照射はJRR-2で300C、110 n/m(E1MeV)なる条件で行なった。SP試験の温度範囲は約-100Cから室温とした。SP試験によって得た弾塑性破壊じん性値Jは0.4及び0.7DCT(ディスコ型コンパクト試験片)を用いて得たJと良い一致を示した。
前田 裕司; 古野 茂実; 北條 喜一; 大津 仁; 渡辺 光男
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.1003 - 1006, 1991/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)超電導材は核融合炉材料の一つとして、その照射効果が重要であるが、最近発見された高温超電導体についてもまた、その利用及び照射効果の研究の重要性が増している。本報告は電子顕微鏡内でHeイオン照射した高温超電導体中のHeバブルの形成及びその成長過程を動的に観察して照射損傷機構を調べた。実験はイオン照射装置を電子顕微鏡内に取り付けて、照射損傷過程を動的に観察可能にした装置を使用して、YBaCuOの試料をHeイオン照射した。小さなバブルは10 ions/cmの照射量で観察された。310 ions/cmでは大きく成長したバブルは潰れて、更にそのあとにまた新しい小さなバブルが形成された。粒界内には優先的にバブルの形成が観察された。エネルギー・ロス・アナライザーを使用して、損傷機構及びバブルの形成、成長過程等を関連づけて実験を進めており、これらを報告する。
實川 資朗; M.L.Grossbeck*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.563 - 567, 1991/00
被引用回数:13 パーセンタイル:78.38(Materials Science, Multidisciplinary)一般にオーステナイトステンレス鋼は照射により硬化と延性低下を生ずる。これらの評価には引張試験が用いられるが延性の評価には結果の取り扱いが適当でないことが多い。これは試験片のくびれデータや絞りデータ取得が困難な事が多い為である。そこで、試験中のくびれ挙動を与える近似法を作り、試験後の試験片形状よりこのためのパラメタを得、これをHFIR照射したステンレス鋼(316鋼、改良ステンレス鋼:PCA)の荷重変位曲線に適用し、引張真応力-真ひずみ関係を得た。さらにこの結果にスウィフトの構成方程式を適用し結果の整理を行なった。これより照射温度673K以下では照射は主として硬化をもたらす事、この硬化を除けば加工硬化挙動に与える効果の小さい事、また733K以上では効果と延性低下をもたらし、硬化及び加工硬化挙動がPCAと316鋼とでは異なることがわかった。
實川 資朗; 北條 喜一; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.538 - 541, 1991/00
被引用回数:2 パーセンタイル:31.89(Materials Science, Multidisciplinary)微量なリン及びホウ素を添加した改良ステンレス鋼及びこれに加工熱処理を行なった試料をイオン注入装置付きの100kV電顕に入れ773Kから923Kでミクロ組織変化をイオン注入しながら、連続観察した。イオン照射は10kVのHeイオンを1.810 He/msの照射速度で行なった。試料中のイオン入射表面近傍に微細(10nm)なバブルの形成が観察された。これらのバブルは照射中に成長を続け合体して大きくなった。合体によるバブルの成長はP及びBの添加により抑制された。この抑制効果はPよりBの方が強かった。また。Tiが無い場合には、PやBの効果は小さくなった。時効させると、Ti、P及びBの効果は減少した。以上より、Ti、P及びBの添加はバブルの合体による成長を抑制すること、そして、この効果はたぶんHeクラスタ上へのMCの析出傾向に依存するのであろう。
木内 清; 石山 孝; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.477 - 480, 1991/00
被引用回数:2 パーセンタイル:31.89(Materials Science, Multidisciplinary)水冷却型核融合炉の第一壁に使用する構造材料には、耐照射性や機械的性質及び高熱流束下の健全性等の諸性質と共に高温水との両立性を合わせもつ総合特性が要求される。そこでIASCC等の重照射腐食の原因となる低温鋭敏化を起こしにくいように、オーステナイトの相安定性の向上と清浄化を計り、さらに既開発のSAR法と呼ばれる加工熱処理法により改質したオーステナイトステンレス鋼を開発した。その試作合金について、上記に関連した基本特性を、JIS規格腐食試験、1MeV電子線照射試験、定速低歪速度引張り試験及び水素ビーム照射試験等により調べた。この結果、試作合金は、SUS316鋼に比較して耐スウェリング性が大巾に改善されると共に、PCAのように高熱流束下で割れを起し易いような問題も無く、また細粒化と分散強化の両効果により、中高温の機械的性質も優れていることが明らかとなった。
木内 清; 菊地 正彦; 近藤 達男
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.481 - 484, 1991/00
被引用回数:2 パーセンタイル:31.89(Materials Science, Multidisciplinary)水冷却型核融合炉第一壁を始めとする重照射下で長期間使用される構造材料の耐久性は、照射時効に伴う材質変化と放射線作用下の高温水腐食による照射誘起割れ(IASCC)に支配されると考えられる。しかし主要な構造材料であるオーステナイトステンレス鋼の500C以下の低温長時間時効に伴う金属組織変化やそれが耐食性及び機械的性質に及ぼす効果さらに照射により導入される格子欠陥の影響に関する知見は、きわめて少ない。本報では、重照射時効に伴う材質変化を加工熱処理等の前処理と歪時効により近似して、腐食試験、機械的性質の測定及び金属組織検査等を行い、オーステナイトステンレス鋼の低温鋭敏化機構を検討した。この結果、従来言われてきたMC炭化物の析出に伴う鋭敏化とは全く異なる機構の脆化が、500C以下で起こることが明らかとなり、その機構は、オーステナイトの不安定化に伴う材質変化である事が分かった。
木内 清; 菊地 正彦; H.Bolt*; 荒木 政則; 関 昌弘
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.282 - 285, 1991/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)ディスラプション等の高熱流束負荷に対する健全性が核融合炉第一壁等のプラズマ対向材料を選定する条件の一つとなっている。実用炉では、アーマー材なしの第一壁が考えられているが、ステンレス鋼等の第一壁構造材料に関するプラズマ近似条件の溶融・飛散損失や割れ感受性に対する詳細な検討がなされていない。本報告では、JT-60の水素ビーム入射装置を用いて、高熱流束負荷試験を行い、上記の表面現象とステンレス鋼の構成相及び組成の関連性を調べた。約30種の各ステンレス鋼の代表鋼種とそれらの成分調整材について、90MW/m、100msの水素ビーム単照射試験を行い、溶融・飛散損失及び溶融凝固割れ、高温変形割れ感受性を、重量減少及び割れの長さ、深さの定量によりそれぞれ求めた。溶融・飛散損失は、構成相の違いに依存し、フェライト系、二相、オーステナイト系の順に増大した。割れ感受性は、C、Si、P量と共に増大した。
鈴木 雅秀; 沢井 友次; P.J.Maziasz*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.718 - 721, 1991/00
被引用回数:5 パーセンタイル:53.89(Materials Science, Multidisciplinary)フェライト鋼は耐スエリング特性に優れていることが知られており、核融合炉第一壁の有力な候補材料である。原研では日米協力試験の一つとして、2相のフェライト鋼である10Cr-2Moを、米国オークリッジ国立研究所にある原子炉HFIR(High Flux Isotope Reactor)により、400C~600Cの温度範囲で57dpaまでの照射を行った。照射材料を透過電子顕微鏡を用いて観察することにより、ミクロ組織の進展について、以下の知見を得た。観察結果については、ヘリウム効果の観点から、考察を行った。(1)400Cでの照射材では、ボイドは大きくは成長しておらず、多くの転位ループと微細な析出物が観察された。(2)500Cでは57dpa照射後、ボイドが急激に成長しており、多くのボイドはX相に付着していることがわかった。(3)600Cでは析出物が大きく成長していたが、ボイドの成長はみられなかった。
浜田 省三; 鈴木 雅秀; P.J.Maziasz*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.515 - 518, 1991/00
被引用回数:8 パーセンタイル:66.05(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射によるスエリングに及ぼす析出物の影響を調べるために、オーステナイトステンレス鋼をHFIRで300~500Cで最大57dpa(~4500appm He)まで照射し微細組織を観察した。実験に用いた試料は改良ステンレス鋼(JPCA)、Type316、2つの低炭素鋼の溶体化処理材(SA)および20%冷間加工材(CW)である。400C以下の照射温度では観察される析出物は少なく、スエリングは材料や照射前処理に依存せず小さい。500CでSAではスエリングは、特に低炭素鋼において、大きい。すべての材料で粗大化したMCやMCが観察され、低炭素鋼では間化合物も観察された。CWではJPCAがスエリングが最も小さく、小さなMCが母相内に均一に観察された。これにより57dpaまでの高照射によってもCWではMCが安定に母相内に存在し、スエリング抑制効果を十分に残していることが明らかになった。
沢井 友次; P.Maziasz*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.519 - 522, 1991/00
被引用回数:9 パーセンタイル:69.46(Materials Science, Multidisciplinary)工学的に重要な溶接材の照射挙動を調べるために、電子ビーム溶接したステンレス鋼の中性子照射実験を行った。用いた試料は、改良ステンレス鋼及び規格316鋼で、実験は核融合炉条件に合せるためのスペクトル調整し、He appm/dpa比を10-12として、400Cで最大8dpaまで照射した後、ミクロ組織を観察した。両合金のスエリング量は0.1%以下と非常に小さいが、溶接部はマトリックスに比べて大きくなる傾向を示した。溶接部の中でもセル境界付近に、より大きなボイドが観られることから、この傾向は従来の電子線による模擬実験結果と同様、溶接時に主構成または微量元素の偏析が原因していると推定される。
関 昌弘; M.Guseva*; G.Vieider*; J.Whitley*
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.1189 - 1192, 1991/00
被引用回数:1 パーセンタイル:19.91(Materials Science, Multidisciplinary)ITERに関連して各国で実施したR&Dのうち、低Z材料に関する成果をまとめて報告する。以下の各項目に関する最近の研究の進展について述べる。(1)CC材料の物性値評価、(2)CC材料の耐熱衝撃特性評価、(3)炭素系材料と金属との接合技術開発と接合特性、(4)スパタリング特性、(5)中性子照射効果、(6)その他の低Z材料
江草 茂則; 瀬口 忠男
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.1111 - 1114, 1991/00
被引用回数:3 パーセンタイル:40.8(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉用超電導磁石の構造材料および電気絶縁材料として使用される高分子複合材料に対し、Co-線を照射したのち77kと室温で機械試験を行なった。その結果、曲げ強度の吸収線量依存性は、複合材料の種類(補強材繊維とマトリックス樹脂のくみ合わせ)のみならず試験温度にも依存し、一見極めて複雑である。しかし、複合材料の破壊ひずみとマトリックス樹脂の破壊ひずみとの間には明らかな相関関係が見出され、この事実から、複合材料の曲げ強度に対する耐放射線性はマトリックス樹脂の破壊ひずみに対する耐放射線性によって支配されることが結論される。一方、複合材料の層間せん断強度の吸収線量依存性は、補強繊維と試験温度にのみ依存し、マトリックス樹脂にはあまり依存しない。この事実は、層間せん断強度に対する耐放射線性は、複合材料中の繊維とマトリックスの界面強度の耐放射線性によって支配されることを示している。